淀川長治
日本の映画評論家でもっとも大衆に親しまれたのが淀川長治です。
映画を愛した人です。
たくさんの著書があって、晩年は聞き書きという形で多くの映画の評論やエピソードを残しました。
そういうことから淀川長治のことを映画史の伝道者のように紹介することがありますが、その著書をよく読んでみると、かなり記憶は曖昧です。映画の内容の事実と違うことをたくさん語っていて、それが活字となって残されています。
しかしそれも無理はありません。昔観た映画の記憶ということでだけでなく、ビデオやDVDで見直して確認することのできなかった時代です。試写室や映画館で一度見ただけの映画について語っているのです。映画評論家の佐藤忠男も映画館でメモを取りながら映画を見ていたと書いていました。
淀川長治の著書は全てを映画史の事実として捉えるよりも、あくまで淀川長治の記憶の中の映画だと思って楽しむことにしています。